モクズガニの種苗放流マニュアル
平成11年 7月  大分県海洋水産研究センター 内水面研究所
  
モクズガニについて
  モクズガニ Eriocheir japonicus(De Haan,1835)はイワガニ科モクズガニ科のカニで、モクズガニ属(モクズガニ、シナモクズガニ、ミナ
ミモクズガニ、ヒメモクズガニ)はいずれも鉗脚(はさみ)に軟毛を持つ点に特徴があります。モクズガニ属4種の中で日本に生息している
のはモクズガニとヒメモクズガニです。ヒメモクズガニは中国沿岸や朝鮮半島の黄海沿岸に分布し、日本では有明海のみに分布していま
す。
河川を遡ることはなく、浅海の底泥で生活しています。一方、モクズガニは北海道、本州、四国、 琉球列島、小笠原諸島にわたる日本全
土及びロシアのウラジオストック〜香港、台湾にかけて広く分布します。モクズガニは海域で生まれ、川をのぼって淡水域で成長し、成熟
すると産卵のために川を下る降河回遊型の通し回遊を行うため、河川の上流域から汽水域及び内湾域を中心に潮感帯や浅海域に広く
生息しています。
 海域でふ化した幼生は浅海域でゾエア期を過ごし(5回脱皮)、メガロパ期以降に河川の汽水域に進入し、稚ガニとなって淡水域へと遡
上します。稚ガニは成長を続けながら河川の上流に向けて広く分散します。その後脱皮を繰り返しながら、ある程度成熟した個体は川を
下り汽水域、海域に達し、交尾・繁殖を行い、ほとんどの個体はそのまま海域で死亡します。
    


  成熟するカニの大きさは河川の下流部ほど小さく、上流部ほど大きい傾向があり、そのため河川の上流に向かうほど漁獲サイズは大
きくなります。また、流程で性比も異なるようで、潮感帯では漁獲物の大部分が雄ですが、上流に行くにしたがって雌の比率が高くなります。
  雌雄は腹節(いわゆるカニのふんどし)の形で区別でき、外観からは見極めにくい小型のカニの場合は、腹節をめくると雄には楊枝の
ような2本のペニスがあるので判別できます。


 

                                                                      

 
  成熟個体か否かは雄の場合外観からは判別できませんが、雌では腹節の形でわかります。


            

  未成体の場合は腹節が腹甲を完全に覆っていませんが、成体になるとほぼ腹腔を覆うようになります。また、成体になると腹肢に卵を
付着させるための軟毛が密になるのも特徴です。
  通常、カニの大きさを表すには甲幅を用います。甲腹とはカニの甲羅の突起を含めた最大幅をいいます。

       

種苗放流の方法に関する Q(質問)
Q1 なぜ、中間育成をしてサイズを大きくして放流しないのか?
Q2 種苗を放流場所まで運ぶ方法は?
Q3 放流適地はどういう場所か?
Q4 流れが速いと稚ガニは流されてしまわないのか?
Q5 放流に適した時間帯はあるのか?
Q6 堰が連続するような川でも放流効果はあるのか?
Q7 放流後の移動拡散は?
Q8 適正放流量はどのくらいか?
Q9 放流種苗の資源管理の方法は?
Q10 放流後の成長と資源としての残留期間はどのくらいか?
Q11 下流で獲れた小型のカニの上流への移植放流は効果があるのか?
Q12 上海ガニとモクズガニは違うのか?